正源宗之の雑歌詩集

私が詩と出会ったのは今から半世紀以上前二十歳前後だったと記憶している 時を経てまた 思いつくまま気の向くままに 趣味の一つとなりし事 幸いと思う

私の色は赤なの

だれかがそっと私に近づいて来る

手を伸ばし赤い私を折ろうとするの

私はじっと身構えた

手がふれた 其の時私はチクリとさした

そうよ私はアザミなの



私の色は赤なの

だれかがそっと私に近づいて来る

ハサミをもって私を元から切ろうとするの

其の時私は思いっきり

ハサミを持つ手をチクリとさした

そうよ私はバラなのよ



私の色は赤なの

野道のはせに春を待ち やっと開いた私の春を

だれかが私を力づく ぐっと引き寄せ折ろうとするの

私はそれにたえかねて

首からぽろりと地におちた

そうなのわたしは椿なの

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山茶花は花びらが散ります。椿は花の形のまま朽ちます。この花は山茶花です。)