正源宗之の雑歌詩集

私が詩と出会ったのは今から半世紀以上前二十歳前後だったと記憶している 時を経てまた 思いつくまま気の向くままに 趣味の一つとなりし事 幸いと思う

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もし 私を呼び止める者がいる
ハイどなたでしたか 思い出せない私に対し
いつか私を空想の世界にご案内いただきました者で御座います
あなたのおっしゃる通りそれは長い旅でした
暗闇の中の一人歩き どこまで行ってもキリがありません
ふだらく山の観音様の住まわれる所までと聞いておりました
そんな所はありませんでした

疲れたらハスの花びらで休めとおっしゃいましたね
赤むらさきの花のじゅうたんが広がっているとも言いましたね
それから きれいなお姫様のような方が迎えてくれるともおっしゃいました
みんな嘘です あなたはずい分いい加減な事をおっしゃる方ですね
でも一つだけ本当のことが有りました
観音様の手の平のこと やっぱりお布施を待っておられたのです

そこで私は六文銭の使い残しをお布施としてお渡ししました
それを見て 此れ位いのお布施で極楽へ行けると思っているのか
ばか者 さっさと帰れと それは怖い顔付きで私を追い返すのです
此の時は地獄の閻魔様の顔でした
でも其のおかげで再び此の世に戻ることができました

そうでしたか そんな事があったのですね
でもよかったですね此の世に戻れて
残る余生を 世の為 人の為におつとめなさい
そうすれば今度は必ず極楽に行けますよ 
いづれ一度は
あの世に行く身ですからね
お布施だけは十分もって行きなさいよ 念のため 

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