正源宗之の雑歌詩集

私が詩と出会ったのは今から半世紀以上前二十歳前後だったと記憶している 時を経てまた 思いつくまま気の向くままに 趣味の一つとなりし事 幸いと思う

空想

あなたを空想と夢の世界にご案内します
長い間意識のないまま病室に横たわっているあなた
白衣を着た先生がご臨終です
短かな言葉を残し立ち去られました
此の時よりあなたの天国への一人旅が始まります
ふだらく山の観音様が多く住まわれる所まで
六文銭は入れときました
それは長い旅になりますよ


三途の川を渡り果てしなき闇の世界を歩くのですよ
もし疲れたらハスの花びらに腰をおろし
ゆっくり休みなさい
そこから下界を眺めてごらん
赤紫のじゅうたんが一面に広がります
其処には元禄時代のお姫様のような それは美しい方が
にこやかにあなたを迎えてくれる事でしょう


あなたは観音様を知っていますか
体から脚光を放ち 左手は拝む形で 右手の平は上にして
何かをお受けになっている
人は悩める者の救いの手だと云ふけれど
私はそうは思わない
お布施を待っておられるのです
六文銭は使い果たしましたか お布施の分
次にそちらに行かれる方にことづけますから さようなら

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