空想
あなたを空想と夢の世界にご案内します
長い間意識のないまま病室に横たわっているあなた
白衣を着た先生がご臨終です
短かな言葉を残し立ち去られました
此の時よりあなたの天国への一人旅が始まります
ふだらく山の観音様が多く住まわれる所まで
六文銭は入れときました
それは長い旅になりますよ
三途の川を渡り果てしなき闇の世界を歩くのですよ
もし疲れたらハスの花びらに腰をおろし
ゆっくり休みなさい
そこから下界を眺めてごらん
赤紫のじゅうたんが一面に広がります
其処には元禄時代のお姫様のような それは美しい方が
にこやかにあなたを迎えてくれる事でしょう
あなたは観音様を知っていますか
体から脚光を放ち 左手は拝む形で 右手の平は上にして
何かをお受けになっている
人は悩める者の救いの手だと云ふけれど
私はそうは思わない
お布施を待っておられるのです
六文銭は使い果たしましたか お布施の分
次にそちらに行かれる方にことづけますから さようなら