雲
眠れぬ夜そっと床を抜け出した
午前二時私は表に立ってみた
うすら寒い外気が身にしみる
空には満月には程遠い月明かりがわづかに我が身の影をおとす
この時刻君は心地良い寝息と共に夢の中にいる事でしょう
月の中に君の姿を追いながらしばしの時を過ごす
その月も雲におおわれ闇の世界に
私の胸も厚い雲におおわれていた
再び床に戻る
冷え切った体はぬくもりの戻るまで
眠れぬ夜はつづく
それでもいつの間にか私を忘れる時が過ぎたのだろう
窓ごしの朝の日差しが私の目覚めを助けてくれた
ベルが鳴った
受話器の向こうに声がひびく
夕べは眠れなかったの 外に出て月を見てたの
そしたらね雲におおわれてまっ暗
君もそうだったの 僕も同じだよ
私の胸の厚い雲はいつのまにか晴れていた